7月21日(月)水難訓練の日に「すべての子どもに“格差なき命の安全”を―いま求められる水難教育の本質を3名の専門家が徹底討論」と題し専門家を交えた、水難訓練の日特別座談会を岡崎竜城スイミングクラブさんが開催しました。ONE RIVERでは、会の企画と運営サポートを行いました。収録動画が公開されましたので、ぜひご覧ください。


はじめに岡崎竜城スイミングクラブ大森玲弥さんより、「日本における水難訓練の現状と岡崎の水泳教育の実態」と題し、学校水泳や日本での水泳教育の歴史や、自身が運営に携わる民間スイミングクラブでの学校水泳の受け入れ経験も交えながら話題提供を行いました。
後半のトークセッションでは、木村隆彦 氏(水難学会会長/明治国際医療大学 保険医療学部救急救命学科教授)と池太郎氏(元海上自衛隊呉地方総監(海将)/現川崎重工航空宇宙システムカンパニー顧問)を交え、「プールでの訓練を必須とすることの意義と限界」「学校教育の限界と民間委託の課題」「今後どうしていけば、子供たちの命を守る水難教育ができるのか」の3つのテーマで様々な意見が出されました。
以下3点が今回の議論の中で出された主な意見です。

民間委託することの懸念点
・民間委託を実施することにより、民間側にとっては人材の確保や施設の維持などに追加の経費が必要となる。経営的な判断により受託をしない可能性もあり、そういった中で、どのようにしたら子どもたちが平等な水泳教育が受けられるのかを考えていく必要がある。

新しい枠組みでの安全教育
・体育の「水泳」という授業の枠組みでは、民間委託によって移動などにも時間がかかりコマ数がへることもありこれまでと同様に泳力の向上を追求していくのは難しいのではないか。しかし、子どもたちにとって水との触れ合いは大切な教育であり、また泳力が落ちることにより、いざという時に命を落とすことがあってはならない。着衣泳を含めた事故や災害時にどう判断し、動くべきかという教育は「防災」や「安全」の観点から必要。体育ではない枠組みでの学びの時間の確保の可能性もあるのではないか。

民間、行政、市民がともに考えることの大切さ
・水泳教育が変わろうとしている今を好機としてとらえ、子どもたちの「安全」をどう守るかという視点で従来の形にとらわれない新しい、水泳教育や安全教育のあり方を民間、行政、市民がともに模索する機会にしていきたい。

日本の教育現場でも初めて迎える水泳の授業の民間への移行。教育現場も管理側もまだまだ手探り状態の今、これまでにない枠組みで新しい提案や議論をすることができました。今回の対談を皮切りに、多くの人の意見を聞きながら今後も水難訓練の啓発と子どもたちを含めた地域の人の命を守るためにできることを考えていきたいと思います。

開催概要

水難訓練の日特別座談会「すべての子どもに“格差なき命の安全”を―いま求められる水難教育の本質を3名の専門家が徹底討論」
場所:NEKKO OKAZAKI(岡崎市康生通南3丁目39 NTT西日本岡崎ビル 1F)
登壇者(敬称略):
・木村 隆彦 氏(水難学会会長/明治国際医療大学 保険医療学部救急救命学科 教授)
・池 太郎 氏(元海上自衛隊呉地方総監(海将)/現川崎重工航空宇宙システムカンパニー顧問)
・大森 玲弥 氏(岡崎竜城スイミングクラブ取締役)
主催:株式会社岡崎竜城スイミングクラブ
後援:岡崎市
協力:一般社団法人パワーストローク、ONE RIVER
協賛:十六銀行



関連エントリー