先日10月26日(土)に、桜の城橋を雑巾がけする「桜城橋ふき」が開催50回を迎えました。ONE RIVERでは、主催のあいち橋の会の宮川さんの運営サポートという形で第一回から運営をお手伝いさせていただきました。
今回の記事は、宮川さんに、当日の様子とあらためて橋ふきをはじめた経緯や活動を通じて見えてきたものを寄稿していただきました。ぜひお読みください。宮川さん、開催50回おめでとうございます!そしてありがとうございます!

************************** 以下、宮川さんよりいただいたレポートです。

2024年10月26日(土)晴れ「額田の森に思いをはせて桜城橋ふき」50回を迎えることができました。
本当にたくさんの方々にご参加いただき感激でした。いつも参加くださる方、支えてくださる方々には、感謝しかありません。

開始の20分くらい前、いつもより少し参加者が多いくらいかな。と思っていましたが、開始の時間が近づくにつれ、どんどん人が集まってくださり、100名を超えるみなさまと一緒に「桜城橋ふき」ができました。感激でした。
この日のためにご尽力いただいた岡崎市のみなさま、ONERIVERのみなさまにも感謝の気持ちでいっぱいです。

当日は久しぶりに「橋上教室」も開催。テーマは「橋」。
岡崎市公園緑地課の森さんから「桜城橋」について、僕からは桜城橋からよく見える「明代橋」「殿橋」について、お話させていただきました。

岡崎市から「額田の森のひのき材で作った箸」「あいちの水」など100セットをご提供いただきました。「あいち橋の会」から「あいち橋カード」の「殿橋」「明代橋」「桜城橋」の3橋分を、ONERIVERからは「お菓子詰め合わせセット」をご提供いただきました。また、1週間前に桜城橋上で開催された、ONERIVERの「川ぐらし」の中で第1回から49回までの桜城橋ふきの展示もさせていただくのに加えて、ゲリラ「桜城橋ふき」もやらせていただいて、とても楽しかったです。ありがとうございます。







ここからは少し「桜城橋ふき」をはじめた経緯を書かせていただきます。

僕は普段、愛知県職員として、橋をつくったり直したりする仕事をしています。橋も人も同じで、愛情を込めてメンテナンスをするとより長持ちするんです。

乙川には昭和2年竣工の選奨土木遺産「殿橋」が架かっています。今から10年ほど前、僕はこの橋の長寿命化工事を担当しました。工事の期間中「岡崎にこんな素晴らしい橋がある」ということを皆さんに知ってもらいたくて、東京、日本橋の「橋洗い」をモデルに、「殿橋洗い」をやりたいなと思っていましたが、実現することはできませんでした。

しかし、何年か経ったある暑い8月の朝、乙川の仲間や偶然集まった人達と一緒に乙川の水をバケツでバッシャーンとかけて、たわしやデッキブラシで洗ったのです。
「殿橋」の歴史やうんちく話などに、参加者の「へぇ~知らなかった!」などの反応や「橋をごしごしすると、なんだか愛着がわくね!」などの言葉がうれしかったのをいまでいまでも鮮明に覚えています。
そしてその数年後に「桜城橋」が、市政100周年を契機につくられました。桜城橋の木床版や高欄には、額田産のひのき材が約6800本も使われています。この橋も末永く愛される橋になってほしい。
そんな願いから、まずは「始めてみる」ことにしました。歩行者の橋であること、木床版であることから、こちらは、長崎県にある出島表門橋にて行われる「橋ふき」をモデルに「ぞうきんがけ」をしてみることにしたのです。

「桜城橋ふき」は雑巾一枚で始められる。始めてみたら、さまざまなことに気がつきました。

人のための橋は、「通路」でなく「広場」だった。ほんのり香る檜のいい匂い。
「橋の上は川の上」中心市街地にいながら四季や自然を感じられる。遮るものがなく、遠くまでの眺めが良い。
「明代橋」「殿橋」「岡崎城」がとてもよく見える。そして、なんといっても「夕陽が美しい」。

そして「続けてみる」ことにしました。

「続けてみる」と、この場所でしかない魅力や過ごし方・楽しみ方もわかってきました。そして「見えていなかったものが見えてきた」気がしています。

裸足になると、木の肌触りが心地よい。
子供はとにかく元気がよく「楽しむことの天才」だ。
雑巾で橋上をキャンパスに絵を描く。
綺麗にした木床版を小さな子供がハイハイしまわる。
親も子も安心してくつろぐことができる。
陽が落ちた後は、ライトアップされ、素敵な空間に変わる。
間接照明がやさしく木床版と高欄を照らす。
西の空の夕陽を見おさめたあと、東の空から満月が昇る。

世界に一つしかない「桜城橋」は、無限の可能性を秘めた場所だった!!

また「桜城橋ふき」を通して、いろいろな事を知りました。
市民の約6割が乙川の水を飲んで暮らしていること。
乙川の水がきれいなのは、水源のある額田の森が豊かであるから。
森が適切に管理されていると、山の保水力があがり、水害のリスクが減ること。
上流の営みが、僕らの暮らしの安心安全に直結していること。
これまで僕らが「あたりまえ」と思っていた豊かな生活を支えるさまざまな「便利で快適な社会のしくみ」が、
決してあたりまえなんかでなく、絶妙なバランスで支えられているということ。そしてそれらがとても危うくなってきていること。それらは他人事なんかでなく自分ごとである。

未来に向け、社会をより良くし、そしてそれが持続的であるためのヒントがここにあるような気がしています。
そして、僕らは「一人では生きていけない」「自然の中でしか生きられない」という、あたりまえのことにも気づく。

乙川は、あなたに、豊かな感性を与えてくれます。
そう、あなたもその自然の一部であるのだから。

あっ、もうひとつ、わかったこと…
桜城橋上で1列に並んで雑巾がけするには、
100人では足りなかった(笑)

あいち橋の会 宮川洋一


桜城橋ふきの準備をする宮川さん